沖縄では面白い人生の儀式があります
あなたは知っていましたか？沖縄には、人生の重要な節目を祝うお祭りがあります。「人生儀礼」と呼ばれるこの儀式は、個人が新たな段階に入ることを社会的に表す行事です。一方、「年中行事」とは、毎年慣例的に行われる伝統的なお祭りのことを指します。生活様式の変化によって、人生儀礼や年中行事が失われてしまったものもあれば、古くから受け継がれてきた伝統芸能のようなものもあります。
妊娠-出産
赤ちゃんが産まれます
イーヤー(胞衣)の始末
生まれたばかりの赤ちゃんの胞衣を適切に扱い、健やかな成長を祈ります。
ナージキー
ナージキーの伝統では、ワラビナーと呼ばれる童名の名前が多く使われます。祖先の名前を受け継ぐためのもので、健康な子どもになるために、次のような儀式が行われます。
まず、庭に置いてある箕という道具を使って的を射ます。次に、ヘラを使って送という草を掘り出します。そして、火の神に報告し、子どもの額に魔よけの選という印をつけます。最後に、子どもを寝かしつけて着物をかけ、歯を這わせたり、バッタを飛ばしたりします。この儀式は、カカンと呼ばれる前着を着た老女によって行われます。
マンサン（満産）
マンサンとは、沖縄で赤ちゃんが生まれてから七日目の夜に行われる祝い事です。この祝いでは、親戚や友人に赤ちゃんの誕生を知らせ、その名前を報告します。
「満産」という言葉は、「満足」が語源であり、「最善の心の状態」を祝う出産の祝いとされています。マンサンの式では、火の神と仏前に料理を供え、子どもの名前を告げます。親戚や村の人々が集まって、にぎやかにお祝いをします。
「満産祝い・満産祝儀（マンサンユーエー・マンサンスージ）」とも呼ばれるマンサンは、沖縄における大切な伝統行事の一つです。
ハチアッチー
ハチアッチー（はちあっちー）は、沖縄の赤ちゃんのお祝い行事です。初めて赤ちゃんを連れて外出し、実家や親戚に紹介することが目的です。
沖縄にはお宮参りの文化がないため、ハチアッチーは初めての赤ちゃんの外出として行われます。
吉日と行く方向を易者や物知りたちに頼んで占って行い、行く場所が決まると、美味しい御馳走を用意して迎える準備をします。ハチアッチーは、産後初めての里帰りとして行う人が多いようです。
タンカーユーエー
「タンカーユーエー」は、沖縄の方言で、「赤ちゃんの1歳の誕生日を祝う行事」を意味します。
この行事は、子供の満一歳を迎えたお祝いと、将来の進路を決める重要な行事でもあります。実家のどちらかで、親せきや友人知人などを招待して開催されます。
タンカーユーエーには、ヒヌカンと仏壇への祈願が含まれ、それに続いて、メインのイベントであるタンカー占いが行われます。タンカー占いでは、お金、筆、ハサミ、そろばん、本などを並べ、その子に取らせて、将来どんな職業に就くかを占います。ただし、置くものは、家庭によって異なります。
このように、タンカーユーエーは、子どもの満一歳をお祝いし、将来の進路を決める大切な行事なのです。
ジューサンユーエー（十三祝い）
沖縄の十三祝いとは、数え年で13歳を迎えた子供たちの誕生日のお祝いです。 沖縄では、自分の干支の年を生まれ年としており、その干支の年が来ると、年齢祝い「トゥシビー」を行い、無病息災を祈ります。トゥシビーは、数え年13歳から始まり、12年ごとに数え97歳まで行われます。
十三祝いでは、子供たちは着物を着用し、寺社に参拝します。参拝の際には、子供たちは、自分が大切にしている漢字一文字、もしくは好きな漢字一文字を半紙に毛筆で書いて供えます。そして、ご祈祷を受け、お守りとお供物を貰い、家に帰ります。
十三祝いのシーズンは、3月中旬から5月中旬までで、伝統的なお祝い時期は、数え年で13歳になる年（6年生の4月）です。現代には、小学校を卒業し、中学校に進学するタイミングで十三祝いを行う家庭もあります。
ハジチ
琉球諸島における女性の入れ墨「ハジチ（針突）」について
16世紀から行われていた琉球諸島の女性の入れ墨「ハジチ（針突）」は、主に指先から肘にかけて行われ、成人式、子孫繁栄、魔除けなどの意味合いがありました。年齢に関しては、10歳未満から20代後半まで様々であり、初めてハジチをする年齢は沖縄本島では4〜7歳であったようです。ハジチは奇数年齢の吉日に行われ、家族や友人と共にお祝いがされました。
ハジチは、あの世で道しるべになり、魔除けになると信じられ、またハジチをしないと大変なことになるという畏怖の対象でもありました。しかし、ハジチは「憧れ」から「排除」の対象に変わり、禁止されてから今年で120年が経ちます。
モーアシビ
沖縄における伝統的な習慣「モーアシビ(毛遊び)」について
モーアシビとは、若い男女が夜に村から離れた野原などで歌や踊りを楽しむ伝統的な習慣です。モーは野原を、集まり場である村の広場をアジマー（辻）遊びとも呼ばれます。
夕刻から深夜にかけて、若い男女が集まって飲食や歌舞を楽しみ、交流する場であり、昔の沖縄の合コンとも言えます。モーアシビは、王府時代から戦前まで続いた歌舞の習俗で、前近代の沖縄においては、結婚相手を見つけるための手段であり、自由な恋愛の場でもありました。
ユミクーイ（嫁乞い）
ユミクーイとは、婚姻に関する言葉です。配偶者選びは、通常両親が決めることが多かったです。
ユミクーイは一般的でしたが、逆に女性から男性に求婚するクーイムーク（乞い聟）もありました。これは、「私の娘をあなたの妻にしてください」という意味です。
サキムイ（結納）
沖縄の結婚式では、「サキムイ」と呼ばれる儀式があります。また、「フクワン」と呼ばれる結納も行われます。
サキムイは「酒盛」とも呼ばれ、息子や娘が婚約した際の食事を指します。婚約が成立すると、婿側の父母近親が酒や肴を携えて、吉日を選んで嫁側へ出向き、結納の儀式を行います。この際、婿側からは餅が贈られ、感謝の気持ちが込められます。
ニービチ（結婚）
ニービチとは、沖縄方言で「結婚式（婚礼の儀）」の意味を持ちます。この言葉の由来については諸説ありますが、「根引き」という単語が語源であるとされ、ニービチは根引きの方言読みとされます。
結婚式のスピーチなどでは、「にーびち ぐすーじさびら（結婚おめでとう）」という言葉がよく使われます。
トゥシビー（生年祝い）
トゥシビーとは、沖縄の方言で、自分の生まれ年の干支が回ってきた年をお祝いする行事です。通常は12年に一度のお祭りとされています。
トーカチ
88歳の米寿のお祝いでは、かごに米を盛り、その上に斗搔の形をした行を立て、また、枡に入れた米を盛って重ねます。枡の米を掻き分けてこぼれ落ちた米は子や孫に分け与え、長寿を祝います。
カジマヤー
カジマヤーは、沖縄地方で数え年97歳の長寿を祝う行事です。この祭りは風車祭とも呼ばれ、沖縄の方言で風車を意味します。なぜなら、97歳になると再び子どもの心に戻るという言い伝えがあり、風車を持って遊ぶことが由来となっています。
旧暦9月7日または9月9日に催されるカジマヤーは、沖縄の生年祝い（トゥシビー）のひとつで、97歳になる人が子供に戻るとされる年齢を祝います。この祭りでは、おじぃ、おばぁが風車を持ちながら集落をパレードします。
カジマヤーは、かつては模擬葬式の儀式として行われていたという記録もあります。明治時代まで、死に装束を着せ、集落の七つのカジマヤー（四辻）を回ったとされています。
ミーウティー（臨終）
ミーウティーとは、沖縄方言で「目が落ちる」「亡くなる」「臨終」の意味があります。
ダビ（葬式）
葬式のことをダビ、ウクイといいます。ダビの時間は辛潮の時間に合わせ出発しました。
ナンカスーコー
沖縄の伝統的な法要である「ナンカスーコー（七日焼香）」は、葬儀から四十九日間、七日ごとに行う法要です。
葬儀直後の法要は「初七日」と呼ばれ、全国的には「ショナノカ」と言われますが、沖縄では「八ナンカ」と呼ばれます。初七日から四十九日まで、七日間隔で計七回営まれる法要を「週忌焼香（ナンカスーコー）」と呼ばれます。
四十九日は、故人が亡くなった日を1日目として、49日目にあたります。「命日＋48日」が四十九日を計算する方法です。例えば、1月1日に亡くなった場合、命日は1月1日、四十九日目は2月18日となります。
ニンチスーコー
ニンチスーコーとは、沖縄の法事・法要を指す総称の一種で、漢字では「焼香」と表記されます。
ニンチスーコーは、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌などといった法要にあたり、ワカスーコー（若焼香）が4回、ウフスーコー（大焼香）が2回執り行われます。
沖縄のニンチスーコーにおいては、「イヌイ（一年忌＝一周忌）」から始まり、「サンジュウサンニンチ（三十三年忌＝三十三周忌）」で幕を閉じる家庭が多いです。33年忌はウワイ（終わり）スーコーといい、一連の法要を終了します。
沖縄では、先祖への祈りは「ウグァンクトゥバ（御願言葉）」などと呼ばれます。
まとめ
いかがですか、沖縄には面白い伝統行事がたくさんあります。
今回ご紹介した以外にも、旧暦の３月３日には、女性たちが海に降りて身を清め、健康を祈願する「サニズ（浜下り）」、冬至の日に家族全員で食べる「トゥンジージューシー」と呼ばれる、沖縄風炊き込みご飯をヒヌカン（火の神）や仏壇に供えて、家族の健康を祈願する習慣があります。
